地球産にはロクなもんがねえ

自分を特別だと思うのをやめて 無理やり昔のことを思い出そうとするのもやめて 嘘や誇張はしたりしなかったりで ありのままのまま 間違いは間違ったまま ころがってもそのまま そのままではあかんのやろうけどええかもわからん

「結果」と書かれたシャツを着て

建築の現場監督という仕事をしている。

誰も興味はないだろうが、

建築は一品受注生産で、現地屋外生産で、労働集約型生産である。

誰も見たことのないものを、

雨にも負けて、風にも負けて、暑さに特にも負けて、

知ってるような知らないような人達で、

建物を造っている。

ちょっと特殊なのである。

 

現場監督はその監督をする仕事なのだが、

技術者とは名ばかりに、

お金、命、時間、美しい仕事、

夢、思惑、結果、約束、

これらのようなものを、

不満満足の満足側に少し傾けることをしている。

傾け過ぎると良いことがない。

微妙なバランスで仕事をしている。

 

「時間」と書かれた板を満足側に傾ける。

板の上には「美しい仕事」と書かれたボールが置いてあって、

不満側にコロコロと転る。

いかんいかんと板を戻しボールが反対に転がり出したころ、

「約束」と書かれたロウソクの火が板にあたる。

「夢」と書かれたうちわは好き勝手に風を送り、

「命」と書かれた石は転がりもせず板を火に近づける。

「思惑」と書かれた紙はいつの間にか燃え尽き、

「お金」と書かれた霧吹きの水が煙の中で空しく尽きる。

板に「時間」などと書いたことを後悔し、

夜が明けて朝が来て、板を手に取る。

 

板に「命」と書くのは危ない。

これは技術者としての最低現のマナー。

板であることが問題なのかもしれない。

その答えには、技術者としての本質があるかもしれない。

今日も建築の現場監督という仕事をしている。